Kengo's blog

Technical articles about original projects, JVM, Static Analysis and TypeScript.

医療向け基幹システムを提供するスタートアップに入社して3年経った

医療向け基幹システムを提供するスタートアップに入社して丸3年経ちました。入社した目的はどの程度達成されたのか、今後どうしていくのかをまとめておきます。

入社した目的の振り返り

入社エントリに書いてるのですが、今回の入社には大きく分けて3つの目的がありました:

  1. 顧客と開発現場から学び、製品とチームを継続的に改善する
  2. 製品を通じて社会の課題を解決する
  3. ドメインの課題を解決する手段とプロセスを理解する

リーンに社会課題を解決するワザを研ぎ澄ませること、新しい技術で新しいアプローチを実現することで難しい社会的課題を解決すること、ドメインの課題を噛み砕いて実行可能な計画に落とし込むことがだいたいの理由というところです。そして前職の先輩方からさんざん聞いていた創業時のカオスを楽しみたかった、というのも大きかったですね。

リーンに社会課題を解決するという点で期待以上の動きができている

これは直近の記事でも公共政策について触れていましたが、リーンに社会課題を解決するための動きは当初の期待を超えた広がりを見せてくれています。スクラムをちゃんとやる、組織を大きくする、社会課題に真正面から取り組むといった機会が山のようにあります*1

医療という社会課題を選んだのも結果的に良かったと感じます。課題の大きさや市場としての複雑さはもちろんですが、2040年という節目を国が挙げていることもあり*2ここから15年間に何が問題になるかが考えやすく、少なくともマクロでは傾向や課題は掴みやすい領域です(と思っていたんだけどそうではない領域がたくさんある、という話が今読んでる本に書かれているようなので楽しみ)。

お金と生命を預かるシステムなので難しさは当然あるのですが、そこは前職から変わらずです。ただ要配慮個人情報を扱う一方で医療機関側に専門家が少ないという業界の課題については、事業での解決は難しいなと思っています。

ドメインの課題を解決する手段とプロセスに驚きはない

過去記事「組織という仕組みで解決することの難しさ、あるいはマネジメントに超人を求めるのは間違っているだろうか」で書いたことほぼそのままです。ドメインの課題を解決する手段にも、それを適用するプロセスにも、大きな驚きはありません。たぶんどこに行ってもこれは変わらないんだろうと思いますし、生成AI時代でも使えるスキルというのはこういうものを指すのかもしれません。

結局これをどこまで泥臭く、丁寧に、飽きずに情熱を持って徹底できるかどうかで課題が解決されるか決まります。内発的動機づけが重要な理由はだいたいこれだと思ってますし、創業経営者が重要な理由もだいたいこれだと思ってますし、社会課題解決の現場にしばしば継続可能性が怪しい活動が出てくるのもこれだと思ってます。だからこそ信念を持って継続できる、興味と関心を保ち続けられる社会課題を探すことが大切だと思いますし、中間管理職としては理想と継続可能性の両方に目を配らなければなりません。ロイヤリティとかエンゲージメントとかの横文字が出てくるのも、この複雑さに起因するのでしょう。

結論、やりたいことはだいたいできてる

連結ウン千人のメガベンチャーで社員番号1000番台だった3年前と比べて、100数人のスタートアップで社員番号20番台をやってる今のほうが事業と社会課題解決にまっすぐ向き合えている感覚があります。前職の先輩からさんざん聞かされていた体験をいままさにできていて、良かったと思います。

もちろん全て理想的に事が運んでいるわけではなく、色々とやりきれてない部分はまだ多々あるのですが、ひとつずつ解決していきます。

*1:具体的な内容については個人ブログの範囲を超えるので、勤務先のカンパニーデックに譲ります

*2:最近公開された医療提供体制等についてという資料がわかりやすい