Maven 4は2年近く前から開発されていて、最近alphaバージョンがリリースされています。自分がMavenを使うことは殆ど無いとは思うのですが、傾向だけでも把握しておきたくてリリースノートやメーリングリストに潜ってみました。
ざっと見た感じ、Mavenでマルチモジュールビルドをしている人や、Maven向けにプラグインや拡張を提供している人は動向を追ったほうが良さそうです。既にGradleに移行した人はあまり気にしなくて良いでしょう。
マルチモジュール周りの改善
以下のサイトで解説されています。他にも親POMのバージョンを記入しなくて済むとか、依存解決周りの改善が多そうです。
プロジェクト定義に変更を加えつつ、古いMavenからも使えるようにしたい
MNG-6656 と動画で基本設計が説明されているようです。POM 4.0.0の配布を継続しつつ、ビルド時には新しいプロジェクトオブジェクトモデルを使いたいようですね。ただXSDファイルはまだ https://maven.apache.org/xsd/ では公開されてなさそうでした。
Gradleが配布時にPOM 4.0.0に加えてメタデータを添付しているのと逆で、POM 4.0.0の定義に収まるように情報を削ぎ落として互換性を確保する感じと理解しました。POM 4.0.0という枠を維持するということは、例えばGradleがcompileをapiとimplementationに分けてABIの概念を持ち込んだような破壊的な変更はあまり考えていなさそうですが、少なくとも新機能を入れることはやりやすくなるでしょう。
Maven Wrapper
4.0で wrapper
ライフサイクルが導入され、 mvn wrapper:wrapper
ではなく mvn wrapper
で実行できるようになるようです。
Maven Wrapper 3.1.1 のドキュメントに以下の記載がありました:
wrapper:wrapper is the default goal, invoked during the wrapper phase in Maven 4. It downloads and unpacks the maven-wrapper distribution,
ちなみに「3.7.0から入る」という古い情報もありますが、リリースノートによると3.7.0は廃止になって3.7の新機能は4.0に入れることになったそうです。
とはいえMaven 3には wrapper
ライフサイクルが無いだけで wrapper
プラグインの公式化は完了しています。よって mvn wrapper:wrapper
がMaven3でも既に通りますので、実用上の問題はないと思います。
古い”API”のサポート中止
Maven 3.0 またはこれよりも古いバージョンのAPIを利用したプラグインのサポートをやめたい、という話が出ているようです。
個人的にはMavenにAPIなんて今までなかったよねという話がちょっと面白かったです。maven-plugin-apiというパッケージは存在するのですが、ちょっと複雑なことをするとすぐに実装詳細であるmaven-coreに依存する必要性が出てくるという話ですね。
実際alphaリリースには既存のプラグインが動かなくなる問題も報告されていて、publicなクラスを積極的に削除しているのは間違いないようです。プラグインや拡張を提供している人は、alphaはともかくbetaとかRelease Candidateとかが出てきたタイミングで動作確認をしたほうが良いかもしれません。