Kengo's blog

Technical articles about original projects, JVM, Static Analysis and TypeScript.

ソーシャルゲームに4,000円お布施してみた

体調不良で寝てる時を中心に、ソーシャルゲームでお金を使ってみました。なんでコレでメシが食えるのかちょっと興味があったからです。 以前からパズドラやバトリクスやブラウザ三国志のような「課金要素のあるゲーム」をプレイしたことはありましたが、実際にお金を使ったのはコレが初めてです。まぁたぶん次はないと思いますが。やっぱりカイロソフトのような売り切りの方が、プレイヤーとしての性には合っています。

ちなみにターゲットはSEGA社が関わっているらしい運命のクランバトルです。アクティブユーザはおそらく数千〜数万人*1ソーシャルゲームの中では中規模くらいの位置づけなんじゃないでしょうか。

クラウドらしいゲーム構成

プレイして面白いなと思ったのが、クラウドだからこそできるゲーム構成に見えることです。まぁクラウドなのかデータセンターなのか知りませんが、たぶんAWSのようなHaaSを採用していると思います。具体的には、毎日決まった時間にPKバトル(「クランバトル」)があり、ここで一気にサーバの負荷が上がっているように見えます。かなり新しいサービスですし、ここで動的にサーバ台数を増やしていると見て間違いないでしょう。

ただ、1つのバトルに参加するプレイヤーは最大40人と決して多くはないのですが、仕様上排他制御が必要なためわりと負荷分散や高速化は辛そう(実際処理遅延も多い)です。データ処理はさすがにRDBではないと思うのですが……なんでしょう、分散ロックでも使っているんでしょうか。最近このへんの情報を仕入れていないのでわかりません。

わりとバグバグ

このゲームはHTMLベースで動いているようなのですが、エスケープ漏れがあったりリソース読み込み失敗への想定が甘かったりとツメが甘いです。特にJSやCSSが落ちて来なかったとき(?)にアプリ再起動が要るのがちょっと辛いです。HTML5のオフライン機能とか使えないんでしょうか、モバイルの経験がないのが悔やまれます。

が、通貨やポイント周りはきちんとテストされているようで、更新ボタンで2度リクエストを送ってもきちんとエラー画面が帰ってきます。他ゲーム製作時の経験が反映されているものと思われ、見習いたいと感じます。

運用とゲームデザインこそ大切?

1ヶ月ほどだらだらプレイして気づいたのですが、定期的に実行されるイベントは過去イベントや通常イベントの使い回しがほとんどです。これで充分な収益が得られるなら、開発側としてはかなり理想的といえるでしょう。使いまわせるということは新規コードが少なくバグも減ると期待できるからです。

ですからおそらく、人材は主に運用に割かれているのでしょう。それこそパフォーマンス改善とかレアカードの需要分析とか。私ならトレードの傾向を見つつレアカード出現確率を変化させるとかやりそうな気がします。

新カードの投入時期検討も重要そうに見えます。もう少し抽象的に言うと飽きさせない工夫。少しずつカードの能力をインフレさせて常にヘビーユーザがお金を使いたくなる状況を作っているように見えます(クリームヒルトの出現でブライドプリンセスが要らない子になった例など)。 この他にも「レアカード出現確率2倍!」とか「レアカードが普段の1/3の課金で買えます!」とか、ユーザに「今がチャーンス!」と思わせるためと思われる施策がとても興味深いです。これ心理学専攻の方とか関与されてるんでしょうか、我々の得意なトライ・アンド・エラーからは出てこない発想のような気がして面白いです。

誰が価値のない電子データの入手に3,000円も払うのだろうか

このゲームのスゴいところは「11連レア召喚」という、レアカードを11枚購入する手段が用意されていることです(検索したところこのゲームに限らない要素らしいですが)。価格はなんと3,000円。中古ゲーム数本買えるレベル。誰が払うんだそんなの……。実際にやってみましたが、とても3,000円の価値なんて感じられませんでした。

結局当初の疑問「なぜメシが食えるのか」はわからずじまいでしたが、1万人から350円ずつ集めれば350万円、3,000円ずつ集めれば3,000万円にはなるわけで、多くのユーザに少しずつ払ってもらえばわりと黒字化も達成可能なのかもしれません。当然Appleがいくらか持っていくはずで、やや厳しそうな感じですが。ミドルウェア構成やチーム体制が気になるので、いつかどこかで発表されないか期待しています。