Kengo's blog

Technical articles about original projects, JVM, Static Analysis and TypeScript.

13年ぶりにストレングスファインダーをやった

ストレングスファインダー、今はクリフトンストレングス(CliftonStrengths)と呼んでいるそうですが、13年前に新卒入社したときも本を買ってテストを受けたことがありました。

当時は慎重さ・戦略性・規律性・内省・収集心が強みだという結果が出ていました。「あらゆる道のりには、危険や困難が待ち受けていると考えている。日課や秩序正しい計画に従うことを好み、決定や選択を行う時に細心の注意を払う。あらゆる種類の情報を蓄積したり自分の頭の中で考えるのが好きで、知的な討論が好き。」ということで雑に言うと石橋叩いて計画するタイプだったんですね。

さて新しく入社した会社がクリフトンストレングスをまた受けさせてくれました。今回強みとして出た資質は「学習欲・最上志向・収集心・アレンジ・原点思考」でした。内省は7位、慎重さは15位、戦略性は16位、規律性はなんと27位に落ちています。この変化について考えてみたら人生経験がわりとダイレクトに反映されてるかなと思ったので書いてみます。

資質変化の裏側にある人生経験

計画から経験主義へ

「秩序正しい計画に従う」規律性と「決定や選択を行う時に細心の注意を払」う慎重さが落ちて「結果よりも学習すること自体に意義を見出」す学習欲と「一度作り上げた構成にこだわらず、作り変えることをいとわない柔軟性を備える」アレンジが浮上したのは、業務での意思決定において経験主義を採用することが増えたことと関係がありそうです。つまりスクラムの採用と不確実性への理解です。

少なくとも学生時代には、私は「世の中の問いには答えがある」と考えていた節があります。理想のプログラム、理想の情報システム、理想のマネジメント、理想の自分があり、それを探し出してその具体化についてのみ考慮すればよいという考えです。これが正ならば、細心の注意を払って作った秩序正しい計画に従って行動することが最も効率的に理想を実現する方法のはずでした。

実際には答えのない問い、あるいは答えが変わりゆく問いもあります。理想も現状も移ろうので、戦略も継続的に更新しなくてはなりません。そのためには失敗というプロセスから学ぶ準備と姿勢、状況の変化に対応した新しい戦略に作り替えるための柔軟性が必要になります。これを身につけられた13年だったのかもしれません。

歴史・書籍・研究から学ぶ

「過去を調べることにより、現在を理解」する原点思考と「一度作り上げた構成にこだわらない」アレンジが浮上したのは、もともと高かった「あらゆる種類の情報を蓄積」収集心が歴史・書籍・研究から学ぶスタイルとうまくかみ合ったからだと考えています。なお「物事の理由と原因を追求」する分析思考が6位に入ってきたのも関係あるかなと思っています。

歴史・書籍・研究から学ぶというのは、今目の前にある課題や疑問に対して自分の頭で考えるだけではなく、自分の外に情報や発想を求めるということ、自分の向き合っている問題領域について先人が何を考え行動してきたのかを知ることです。

例えばビジネスで出会う課題のいくつかについては、書籍にすでに情報がまとまっていたりします:

また組織がどのように失敗してきたか、だけでも以下のように様々な書籍が出ています:

自分の頭で考えることも重要なのですが、考える材料が揃わないうちに直感ベースで突き進んでしまうと既知の落とし穴に容易にハマるのが人間です。例えばITエンジニアの業務の範疇では、FlickrのDevOpsGoogleのError budgetを知っているのと知らないのとではシステム運用に関する発想が大きく変わるはずと思っています。

単語を知り概念に名をつけるだけでも、考察の幅が大きく広がります。意義や新規性のある意見を持つためにも、まず先例や類似事例について学ぶことは重要ですし。人間や組織がどう考え行動するのかを知ることで人生の意外なところで役立てられるのかなとも思います。

組織とは人だ、ではマネジメントには何ができるのか

内省よりの話が続いたので対外的なところ、マネジメントについて着目してみます。チームとの関係性の築き方に影響しそうなのは、2位の「個人やグループの改善を促す方法として長所に着目」する最上志向と、8位の「各人のユニークな資質に関心を持ちます。異なるタイプの人たちの集団をまとめ、生産性の高いチームを作ることに長け」る個別化です。

実際に生産性高いチームを作れていたかは他の方に評価を譲るとして、尖った個性的な人材をまとめて開発チームを作ること自体は好きでした。残念ながら私は自分大好き人間なので、傾聴すべき場面で自分語りをしたり自分流を押し付けてしまうなどの問題行動もあったのですが。他者の強みを知ること、強みを伸ばすこと、強みが摩擦で損なわれないようにすること、チームの凹みをカバーすることには時間を割き関心を払ってきたと思います。

異なるタイプの人たちの集団をまとめるのに重要なのは、マネジメントの期待を明確にすることだと考えています。最低限の要求を明文化し示すことで、それだけ守れば自由にやっていいのだというあそびが生まれるためです。期待とはアウトプットかもしれませんし、企業文化かもしれませんし、レゾンデートル(存在理由)かもしれません。MVV(Mission, Vision, Value)だとちょっと粗すぎるので、四半期か半年レベルの目標に落とし込む必要があると思います。

課題だと思っていること

経験主義が重要な考え方だとは言え、慎重さが必要なくなったわけではありません。目標を見直し続けるためにどういったデータを残すべきなのか、残したデータをどのように分析するか、失敗したときにどう戦略を切り替えるか、といった細かな内容を「とりあえずやってみて失敗する」前に準備しておかなくてはなりません。

また規律性も同様で、画一的な働き方が不要になった今でも残すべき規律はあります。ITエンジニアで言うならばアジャイルのセレモニーのような、働き方のリズムをつくる仕組みは従来どおり実行していく必要があると考えています。これによって透明性が確保されることで、経験主義が回り始めるからです。

これらはもともと気にできていた部分ですが最近あまりできていないのかなと思ったので、改めて見直していきたいと考えています。

まとめ

日々学習すべきなのは目の前の課題の”正解”ではなく課題解決の基礎体力であること、そのためには過去や外に目を向ける必要があること、マネジメントとして長所に目を注目して期待を伝えることの3点が大切だと学んだ13年でした。

一方で慎重さや規律性も重要なので、かつての強みを手放すことなく活用するべく見直しをかけていきます。