これ↓読んで、自分の経験をまとめようと思ったのでメモ。
チームビルディング、ないし組織・オフィスの改善のためにやってきたことはけっこうある。反面、できていないこともかなりある。
やったこと、継続していること
社内技術勉強会
上海拠点設立時に董事長と話してやったのがこれ。せっかくCS専攻の人を集めたのだし、ポテンシャルある人ばかりなので、彼らが互いに刺激を与え合える機会を作ろうという狙いだった。当時は20名弱だったので、全員にスライドを使って企画意図を説明したのを覚えている。
最初は発表者が2,3名に偏ったり、開催時間が固まらなかったり(最初は朝開催を目指したが、結果的には夕方開催に落ち着いた)、発表が数週間連続でなかったりという問題も多かった。しかし結局は、私が異動でいなかった時期(1年間)も含めて6年間続けられている。継続するのが一番難しいので、これは普通に素晴らしいことだと思っている。
継続のコツは、やはりイベント自体を楽しいものだと思ってもらうこと、他の人を巻き込んで協力を得ることだと思う。魅力を理解してくれた数名が引き継いでくれたからこそ私が不在でもイベントが回ったし、今は自分が聞き込みや勧誘をしなくても社内交流促進の専門家が代わりに調べてくださっている。ので、最近の私はたまに発表するだけという立場。たぶん私が立ち上げ人ということを、新人は認識していないはず。
問題共有イベント
最近は拠点規模が大きくなって、拠点全体で何が起こっているのかを把握するのが難しくなってきた。また異なるチームで似たような問題をバラバラに解いているような状況も散見されるようになってきた。問題解決こそが仕事なのにこの状況は好ましくないだろうということで、従来人事評価時にやってきた成果発表とは別に、プロセスと問題とを拠点内で共有するイベントを立ち上げた。怒らないことを強調しないだけで、前述のイベントとほとんど同じ。
部署の壁を超えて数百人巻き込むので、コストが大きいことを個人的には気にしている。ので毎回アンケートで発表者と聴衆の両方から実際役に立ったのかフィードバックを得ているが、いまのところコストを成果が上回っている認識。今後も成果の評価と改善検討を続けていくつもり。
AMAイベント
これについては自分の上長が事業部で実践していたものをパクって上海に持っていっただけ。主に新人が持っているであろう疑問や、いわゆるhard questionを部長らが匿名(実名付記も可)で集めて一括で答える。文書化されてないルールや、歴史的経緯でそうなっているもの、(中国の)普通の会社でやっているのにやっていないこと(あるいはその逆)とかに関する質問が色々集まる。推測や疑問を検証できる機会を公式に作るだけで、教育やモチベートの切欠を作ることができる。問題回収と整理は非同期でできるので、複数人を一同に集めることもなく開催コストもそんなに高くない。
最初はQuestion Gathering Eventと呼んでいたが、最近AMAという言葉が身近で流行したので、今はAMAあるいはAsk Us Anythingと呼んでいる。
技術交流用WeChatグループ
WeChatでグループを作り、社員と元社員とでFOSSについて話す場としている。はてブと同じノリでURLをポンポン投稿する感じ。任意参加なので尖った技術者が集まりやすい。RustとかTaigaとかConduitとかはここでキャッチしている情報もある。新人には、興味を感じる分野を探す一助になっていればいいなと思っている。
MBO-S
これに関しては普通に目標管理の教科書を参考にやっている。変わったこともたいしてやってないはず。上長としては部の短期・中期目標(どのProblem Spaceにフォーカスするか)を明確に提示し、それぞれに固有名詞を付ける(Project FooBarとか)ことで、メンバー間交流が促進され挑戦・工夫がしやすい状態になるよう心がけている。自分のMBO-Sフォーマットは社内SNSで公開し、壁に貼って誰でも閲覧できるようにしている。
1on1
これも初めて6年になる。運用上工夫しているのは3点:
- 直接の部下(課長?)とは週次、間接的な部下とは月次で実施
- 時間を自由に使って良いことを前提として、聞きたいことリストをこちらから提示(情熱的に働けているか、やりたいことの妨げになっているのは何か、上長に期待しているのは何か、直近の全社集会について質問はあるか等)
- 1on1を受けてこちらがやることを、最後の時間でコミット
本当は2みたいな質問の提示は誘導に繋がるのでやらないほうが良いと思っているが、何も持ってこない人が散見されるので補助線として用意している。
参考にしている本は複数あるが、最近読んだのはフィードバック入門、マネジャーの最も大切な仕事、HIGH OUTPUT MANAGEMENTあたり。特にフィードバック入門のTeaching + Coaching = Feedbackという図式はわかりやすく応用がきく気がしている。
できていないこと、継続できなかったこと
ライトニングトークイベント
前述の社内勉強会の一環として、30分ずっとLTするようなイベントを考えたことがある。結果、3〜5分という短い時間で話し切ることに慣れさせることができずに終わってしまった。会社を一歩出ればLTの機会がたくさんある東京と違って、勉強会が少ない上海ならではの問題かもしれない。
輪読会、読書会
これが定着しない理由は明確で、私自身に成功体験がないから。どこかでちゃんと運営された読書会に参加して、感覚を身に着けたい。
今は本を一緒に読む代わりに、おすすめの記事や本を社内SNS等で発信している。今のところはCI/CDやMSAについて語る機会が多いので以下だが、随時アップデートしている。
- The Way of the Web Tester: A Beginner's Guide to Automating Tests by Jonathan Rasmusson | The Pragmatic Bookshelf
- Google - Site Reliability Engineering
- Reactive Microservices Architecture: free O'Reilly report by Lightbend CTO Jonas Bonér | @lightbend
- "Reactive Microsystems - The Evolution Of Microservices At Scale": Free O'Reilly Report By Jonas Bonér | @lightbend
- Getting Started with Microservices, Part 1: Advantages and Considerations | Oracle Developers Blog
- Infrastructure as Code: A Reason to Smile | ThoughtWorks
- Home | Scrum Guides
- Cloud Design Patterns | Microsoft Docs
- AWS-CloudDesignPattern
休祝日のチームビルディングイベント
これは日本で開発合宿経験済みではあるのだが、自分が子持ちということやその他の事情から積極的にやる予定がない。上海の部下はともかく、日本の部下とはかなりやりにくいという事情もある。やる気と関心がある部下に、提案から丸投げている状態。
社外の人を巻き込んだ勉強会
これは1回だけやったことがあるが、会場と参加者の定期確保に失敗した。そもそも上海で定期的に勉強会を開催しているのがWiredcraftくらいなものなので、潜在市場はありそう。深センほどではないとしても、上海にはGoogleもMicrosoftもeBayもチームラボもサイボウズも色々居るはずなので、ちゃんとツテを作って運用したい。
とりあえず現地日本人コミュニティに顔を出しつつ、上海のMeetup.comで定期的に参加できる勉強会を探していくつもり。