一時期はメソッド名は動詞で始まらなければならないと言われていましたが、昨今ではJava標準APIでも動詞ではないメソッド名が散見されます。本エントリではその傾向をまとめます。
of, from(from, of, valueOf, fromString, fromNullable etc.)
from
やof
はEffective Javaでも触れられているように、ファクトリメソッドとして利用されることが多いようです。例えばJAX-RSでは valueOf(), fromString() といった名前のファクトリメソッドを利用します。
to, as(toList, asList, toArray etc.)
主に自分自身を別の形に変換するインスタンスを返すメソッドに使います。
またJava8のCollectorsにあるような、変換・生成を担うインスタンスを生成するメソッドにも使います。こちらはプログラムを英文として読めるようにするための命名ですね(stream.collect(toList())
など)。流れるようなインタフェースを採用する際にどうぞ。
接続詞(and, or, andThen, orElse etc.)
Andやorは2つ以上のインスタンスを結合して新しいインスタンスを生成する際に利用します。古いところではHamcrestでも使われています。
Java8では関数合成(lambda同士の結合)やOptional
周りでも利用されています。
if(ifPresent, xxxIfYyy)
条件に適合する場合のみ何らかの処理を実行する際に利用します。lambdaが登場したJava8から一般的になった命名と言えるでしょう。
形容詞(boxed, reversed, empty)
自分自身の状態を特定の条件に従って変化させたものを返します。またファクトリメソッドとしても使われています。
同じJava8のAPIでもPredicate.negateは動詞を使った命名になっていて、ちょっと統一感がありません。
名詞(min, max, range, iterator)
主に自分自身とは他のインスタンスを返すメソッドに使われます。ファクトリメソッドとしても使われています。
本来であればfind
, create
, generate
, of
といった単語がメソッド名に含まれているべきですが、利用頻度が高いメソッドなので省略している……という印象です。ループカウンタにi
という意味のない命名をしても支障がないのと同じでしょうか。自作クラスで使うときは、慎重になったほうが良さそうです。
be動詞(isEmpty, isPresent)
boolean型フィールドのgetter、あるいは状態を表すメソッドに使われています。
その他の動詞
ごく一般的な命名です。
なお三人称単数のSをつけるかどうかは、わりとどうでもよいようです。例えばJava標準クラスでも、Sなしの命名(e.g. Set.add)とSありの命名(Set.contains)が1クラス内で混在していたりします。Sなしの命名のほうが多いので、基本的にはそちらに合わせるとよいでしょう。