雑誌などに載っているレシピには、ごくまれに理系には理解しにくい表現が混ざっていたりします。
世間で言われている「少々」や「ひとつまみ」は調べればなかなか明確な基準であることがわかりますが、問題なのは「量」の単位が明確でない場合です。
量とひと口に言ってもレシピに登場する量には重量と体積の2種類があるはずですが、それが区別されていないことが多いのです。
たとえば
米1に対して水7を加える(お粥の炊き方)
という表現。これではカップとはかり、どちらを使って作業すべきなのか明確ではありません。
レシピを書いた人には「米は基本的に米用のカップで量るものだから、この場合も体積で量るのが普通」という考えがあったのかもしれませんが、レシピの読者全員が共有している前提とは言い難いのではないかと思います。そもそも米を勝手に計量してくれる米びつを利用している人は、米用のカップを持っていない可能性もあります。
反面、ほぼすべてのレシピにおいて徹底した前提共有が行われている部分もあります。それは単位の共有です。
たいていのレシピには目次あたりに次のような表記が見受けられます。
小さじ1は5mlです。
大さじ1は15mlです。
1カップは200mlです。
1ccは1mlです。
室温は20℃です。
室温は環境によっていくらでも変わる要素なので表記は必要でしょうが、1cc=1mlであることは小学校で習う知識ですからいちいち書く必要はなさそうなものです。しかしほぼすべてのレシピに記載されています。
きっとccとmlの関係が常識でなかったころに何らかのトラブルがあったのでしょう。企業の苦労が垣間見える表記です。