Kengo's blog

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なぜポップはカッコよくウソップはそうでもないのか

先日オフラインでポップウソップは似ているのではないかとの問題提起を頂きました。一般人くさい点や一見不まじめな点など確かに一致も多いのですが、ポップはカッコよくウソップはそうでもないと思うんですよね。
もちろんロビン救出シーンなどカッコいいケースもあるのですが、あれはウソップではなくその役割がカッコいいのであり他の狙撃手(ホークアイ中尉とか)が狙撃していてもやっぱりカッコよかっただろうと思います。対するポップは、他のキャラクターに置き換えたときに話が成立する気がしません。彼の役割は彼の歴史に基づくものだからです。
彼らの最大の違いはなんでしょう?それはおそらくそれぞれのマンガのスタイルです。ダイの大冒険は各キャラクターの成長の描写に力点を置いている反面、ONE PIECEはストーリー(筋書き)に力点を置いています。そして前者のスタイルの方がキャラクターが魅力的になりやすいのだと思います。


ダイの大冒険は魔王討伐というわかりやすくメッセージ性のないストーリー*1を主軸に据え、軍団や親衛騎団といったわかりやすい障害を撃破しながら展開します。反面キャラクターが抱く想いや葛藤は複雑な変化を伴い、その解決(成長)の描写に多くのページが割かれます。このマンガでは、ストーリーは各キャラクターの成長を描くための舞台として作動することを期待されているように見えます。
対するONE PIECEではストーリーが強いメッセージ性を持っており、その描写に力を入れています。単行本の側面が真っ黒ということも珍しくありません。反面主要キャラクターの葛藤や心理的変化の描写は省略*2され、キャラクターの存在意義をストーリーにピリオドを打つ(バトルする)ことに求めています。このマンガでは、ストーリーが主でありキャラクターが従であると言えます。


以上の違いがキャラクターの描かれ方、すなわちカッコよさに違いをもたらします。
ポップはその弱さが親近感を呼びダイでは果たせないより強い成長を演じてその人気を不動のものとしましたが、ウソップはストーリーを円滑に終わらせるための役割を演じることで主役(ストーリー)を立てることに徹しています。かつては心理描写を伴い自らが主役になることもありましたが、ゴーイングメリー号を失った今そのようなこともないでしょう。


つまり、ダイの大冒険はキャラクターがカッコいいマンガで、ONE PIECEはストーリーがカッコいいマンガなんだと思います。私より下の世代だとダイの大冒険を読んでない方も多いと思いますが、テンポよく読めるのでこの冬休みにでも読んでみてはいかがでしょうか。